Carmen
by Georges Bizet

December 29, 2006
@ Landes theater Eisenach
http://www.theater-eisenach.de/

Conductor: Tetsuro Ban
Production:

Cast: [To be inserted]




アイゼナハ(Eisenach)はドイツはチューリンゲン州に存する一都市で、バッハの生まれた地であり、また宗教改革のルターが多くの時間を過ごした地として有名です。今日から4日間、この地に滞在しつつ、アイゼナハの歌劇場にて毎日音楽、オペラを楽しむ予定で、今日はその一日目。

アイゼナハは人口たった4万5千人の都市ですが、この小さな田舎町のオペラハウスで音楽監督を務めるのはなんと日本人の指揮者。ある意味、まさに「のだめ」の千秋を地で行っているような方です。彼の演奏は以前からとても好きで、東京での公演はほとんどすべて聴きにいっていたのですが、この職に就かれてからはめっきり日本での公演が少なくなってしまっていました。なので久々の機会、期待を膨らませて観にいってきました。

さて、カルメンは言わずと知れた有名オペラですが、演出がとてもモダンでした。80年代のイメージで、カルメン他悪党はヤンキーって感じ。ミカエラはブラウスとロングスカートが似合う清楚な女の子・・って感じ。個人的にはこれはこれで結構楽しめたのですが、シニアメインの客層にはあまり受けない部分も多かったように思いました(男性が上半身裸になったりパンツ姿になったり・・)。また、やっぱりエスカミーリョだけはどうしても闘牛士以外のものにはできないわけで、そういう点でも若干無理を感じました。やっぱりカルメンは「いかにもスペイン」な空気を感じられるようなトラッドな演出がいいなと思います。

出演者(プログラムをもらい損ねたので人名は後日記載予定)はとても粒がそろっていて、とても小さな町の歌劇場とは思えない質の高さでした。METとかに出ている演奏者と遜色ないようなレベルの人も多かった。とりわけホセ役の韓国人歌手はすばらしかったです。一方、地元の人に人材を依存していると思われる合唱についてはややいまいちな感じ。まあ、地元密着型のオペラハウスとしては財政的にも集客目的という意味からしても、これは仕方ないのかな、と思いました。

指揮者の阪さんは相変わらずのすばらしい指揮ぶり。泣かせどころも比較的早めのテンポでさっぱりな感じの演奏が多かった以前よりも、聴かせどころをたっぷりと聴かせる感じがしました。まあ、カルメンだから自然にそうなるのかな。一番良かったなと思ったのは二幕のホセのアリア。テノールの技術は言うまでもなく、オケが絶妙な音を鳴らしてアリアを盛り上げてました。

ともかく、今シーズン最後のカルメン上演であったこともあってか、メインキャストのカルメン、ホセはすばらしい好演。そして指揮者のリードでたっぷり感動させてもらいました。

小さなオペラハウスの利点で、すばらしい音楽を大音響で楽しめたのも感動に一躍買った気がします。こういう小さくかつしっかりした音楽が聴けるオペラハウスを持つ地元の皆さんがうらやましい。今多くの市民が財政危機の中オペラハウスの存続に向けた活動をしているようなのですが、ぜひ頑張って欲しいなと思いました。