Jenufa@MET

ymellon2007-02-02



Jenufa

by Leoš Janáček

February 2, 2007
Metropolitan Opera

Conductor: Jiri Belohlávek
Jenufa: Karita Mattila
Kostelnicka: Anja Silja
Laca: Jorma Silvasti
Steva: Raymond Very
Buryja: Barbara Dever

Production: Olivier Tambosi


イェヌーファはヤナーチェクの代表作で1904年初演。オペラ公演を見たのはこれが二回目。話がとてーも暗く、重いので、ちょっと気合を入れないと見に行けないオペラ、、、という感じではあるのだけど、いろんな意味の愛、宗教、世間体、血縁、親子愛・・・などなど本当にいろんな観点が含まれた複雑な人間・社会の側面を浮かび上がらせるとてもいい作品です。となりに座ったおじさん(演奏中に指で指揮をする癖がうざかった・・)は「Greatest opera」と形容してましたが、納得です。


前回みたのは二期会の公演(指揮:阪哲朗)で、ベルリンのコーミッシェ・オーパーとの共同制作ということもあり、ドイツ語上演でした。今回は原語のチェコ語による上演ということで、前回にはなかった音楽と台詞との絶妙の組み合わせから生まれる音楽の流れを強く感じました。そもそもこの作品、ヤナーチェクは音楽だけでなく台本も作ってます。チェコの民謡への研究も熱心だっただけあって、やはり言葉と音楽との関係にはとびきり鋭い感性と、深い知見を持っていたのだと思います。


それほどメジャーでもない作品のせいか、空席もちらほらとあるMETでしたが、(前回のネトレプコの清教徒とは違って)よりいっそうオペラ好きの客が多かったように感じました。咳やくしゃみはもちろんあるけど、緊張感の高まる場面での静寂感は日本でオペラを見ているような錯覚を覚えるくらいで、より音楽・舞台に集中できました。


演奏は、すばらしいキャスティング、の一言。Mattilaのイェヌーファ、Siljaのコステルニチカは本当にはまり役。人物像を明確に感じさせて、またそれがとても違和感のない自然なものでした。男声陣も、Silvastiは悪から善への人格の成長をうまく表現できていたし、Veryの駄目男(イェヌーファを孕ませておいて、彼女の頬が傷ついたからとか、義理母が怖いからという理由で逃げちゃう役)の表現も素晴らしかったです。


二期会の演奏にもとても満足だったのですが、このプログラムでの演奏に触れて、このオペラの深さ、良さをよりいっそう認識することができました。歌い手の腕および原語上演であったことのせいなのかな。Mattila、Siljaのイェヌーファ上演に触れる機会があればぜひお勧めです。