ばらの騎士

5/10/2007
Bayerische Staatsoper (バイエルン歌劇場)

Der Rosenkavalier (ばらの騎士
By Richard Strauss

Conductor: Peter Schneider
Production: von Otto Schenk and Jurgen Rose, 1972

Adrianne Pieczonka (マルシャリン(伯爵夫人))
John Tomlinson (オックス男爵)
Sophie Koch (オクタヴィアン)
Eike Wilm Schulte (ファーニナル)
Diana Dmrau (ゾフィー

ビールとソーセージのおいしいミュンヘンはドイツ第3の都市で、ドイツ南部のバイエルン地方の中核都市。この町のバイエルン歌劇場は現在ケント・ナガノが音楽監督を務めている、世界的にもトップクラスといわれるオペラハウス。今日はそんなすばらしい歌劇場で、ドイツ語モノのオペラの中でもこれぞオペラ、と呼びうる作品の一つである、シュトラウスの「ばらの騎士」を観た。


(写真:歌劇場外観)


(写真:歌劇場内部。白を貴重としたデザインはとても品があって素敵。)

演奏には大満足。まず、歌劇場の音響のよさにびっくり。最も音響の良い天井桟敷席だったこともあるが、残響の量と質が最高。ヨーロッパのオペラハウスらしく、残響は少なめ(オペラハウスは言葉が聞き取れなければならないので、基本的に残響がほとんどないくらいに設計されている)なのだけど、ウェッジウッドの陶器を思いださせる美しい模様の天井(写真)の素材のせい?か、暖かく気持ちの良い響きが残る。「ばらの騎士」はそもそもオケの規模が大きく、オーケストレーションも複雑で、その上重唱も多いので、残響が多すぎると盛り上がってきたときに細かいハーモニーが分からなくなってしまいがち。今日は、歌手やオケ、指揮者の技量によるところも多いのだろうけど、あらゆる音がクリアに聴こえて、本当に美しいハーモニーを楽しむことができて、なるほど、オペラってこういう会場で演奏するための音楽なのだな、と思わせられた。あるオペラ指揮者が日本の新国立劇場は残響が多すぎると話していたが、納得である。

(写真:歌劇場の天井)


今日の大失敗は席の設定。インターネットで予約したのは、最も音響が良いと思われた天井桟敷席の最終列。いざ着席してみると、なんと自分の席の前に立ち見の人がずらっとならぶ構図。要するに、前の人が立っているから、自分が座ったら当然なにも見えないし、自分が立っても基本的には舞台の上の字幕くらいしか目に入らない。立見席よりも高い(といっても10ユーロだけど・・)のに立見席よりもある意味悪い席。そんな席は誰のためにあるかというと、スコアをめくりながら聴いている指揮の勉強などをしている人や、歌詞をじっくり読みながら聴いている人など。要するにちょっとマニアックな人向け。知らなかったのだけど、ウィーン国立歌劇場でも同じようなスタイルの席があるとか。

席のポジション上、音響は言うまでもなくとてもすばらしいので、音に浸されているだけでも十分に満足できたけど、肝心の場面では、手すりの部分に足をかけてステージを見るようにして鑑賞。今日の演出はトラディショナルなもので、安心して鑑賞できた。演奏家たちは本当にすばらしかった。
印象に残ったのはゾフィー。オクタヴィアンの声はやや細め。