木下美穂子&阪哲朗・アンサンブル神戸

けいはんな夏のクラシックコンサート10周年記念

ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
ヴェルディ:「トロヴァトーレ」よりアリア「穏やかな夜」
      「仮面舞踏会」よりアリア「私の最後の願い」
ビゼー:歌劇「カルメン」より前奏曲
ビゼー:歌劇「カルメン」より
       ミカエラのアリア「何を恐れることがありましょう」

ブラームス交響曲第2番 ニ長調作品Op.73


指揮:阪 哲朗
ソプラノ:木下美穂子
オーケストラ:アンサンブル・神戸


公演二日前にこのコンサートの存在を知ったのだが、勢いで新幹線を予約、日帰りで京都(というか奈良により近い京都)まで足を伸ばしてしまった。

木下美穂子さんは二期会所属のソプラノ。国内の主要コンクールで優勝しまくった上、海外でのコンクール受賞歴も華々しく、近年ものすごく活躍されている方。
僕は03年の二期会公演「蝶々婦人」での蝶々さん役での活躍を観て以来の大ファン。06年には同じく二期会で「椿姫」のタイトルロールもやっている。

日本人離れした、密度の濃い声をお持ちで、リリコ系の太い声なのに高音域も完璧。椿姫の第一幕のアリアのような、コロラトゥーラ的な技術を求められるところも軽々とこなしてしまう、そんなバランスの良さが個人的には魅力に感じる点。役柄イメージを壊さない美貌もすばらしい。

今回のコンサートのような演奏会形式のものを聴くのは初めてだったが、やはり「すばらしい」の一言。フランス物よりもやはりヴェルディのイタリア語のアリアがよいなと思った。

オケを率いたのは阪哲朗。なんでも、このコンサートシリーズはこれが10周年目とのこと。阪氏の出身地である京都に対する文化面での貢献事業、という面もあるのだろう。コンサートの前々日には、オケと指揮者による、コンサートで演奏する楽曲の解説まで無料で行っている。地元の人がとてもうらやましい。

後半に演奏されたブラームスは本当にすばらしかった。阪さんのこの曲を聴くのはおそらく3回目くらいになるが、やはり一番よかった。テンポ速めに始まった第一楽章だったが、ためるところを重くためるような表現が効果的で、さっぱり過ぎる嫌いもない。第二楽章はいっそう情熱的な感じ。アンサンブル神戸のコンマス率いるバイオリン部隊がとてもよい音を出していた。以前の演奏よりも、テンポ、というよりはフレーズによって音の密度やうねりをより積極的に変化させるようになった、というのが、僕の素人的感想。そうすることによってさまざまなフレーズがまったく違った意味を持って響いてくるように思え、音楽の奥の深さをひしひしと感じた。

ところでこのアンサンブル神戸、どういうオーケストラなのかわからないのだが、とてもすばらしい演奏だった。とりわけ感心したのが木管の美しさ。オーボエ、フルートの響きにはまったく聞き惚れた。

・・長くなりましたが、まとめると、来年以降もぜひ行きたいと思わせるコンサートだった。近隣の方、お勧めです。