Robert Feldman

モルスタの経済リサーチのトップ、フェルドマン氏が、数時間のフィラデルフィア滞在の合間を縫ってWhartonに講演、というかレクチャーにきた。
比較的狭い講義室で黒板を使いながら分かりやすく彼独自のフレームワークを紹介しつつ、日本経済の現状と課題について語ってくれた。

日本経済を見る上でのフレームワークとして、Demographic面からの分析と、政治面からの分析を紹介。Per-capitaGDPを維持するためには生産性の向上と労働参加率の向上(結局60歳以上の人も働き続ける仕組みを作るしかないとの結論。この辺はSiegelも同じことを言ってた)が必要であることを、そして政治面ではCRIC Model(Crisis→Response→Improvement→Complacency)を紹介しつつ、彼が手伝ってきた小泉改革が過去のものとなりつつある日本の政治の体たらくな状態を嘆いているようだった。

その彼の今年の日本株への見方はとても悲観的である。最近、さすがに過去1年以上世界の株式市場をアンダーパフォームしてきた日本株を見直す見方が増えていることも事実だが、私は悲観的だ、と。日本株に関して今できることはせいぜい
1. Stay away 
2. Compile BUY list (いつかくるBullishな相場に備えて・・(でもそれは今年には来ない、というのが彼の見方)
3. Derivatives (そうは言ってもValuationは安いので、急騰リスクに備えてDeep out of the moneyのコールオプションくらいは仕入れておく。Deep out of the moneyのプットを売ってゼロコストにする。・・・でも最近のボラティリティの上昇で、オプション価格が高くなっているので、今はもうお勧めできないとか)
と語っていた。

彼は今アメリカ出張中で、今日までは東海岸を、今後中西部、南部、そして最後はサンフランシスコにて投資家にプレゼンして日本に帰るらしい。なるほど、こういう内容のプレゼンを沢山の米国の投資家にしてるんだから、そりゃあ日本株弱いよなあ、と思った。

彼の見方は、小泉改革を手伝っていたという経緯の影響で、ややNegativeバイアスに囚われている感じがする。日本での改革後退の経済への悪影響については全く同感だし、日本の政治の状態がよい方向に変化する、という明るい兆しが全くないのも事実。しかし日本企業、とりわけ大企業のDomestic市場への依存度はかなり下がっているし・・・、と色々反論を試みる自分は自分で明らかに日本株ロングバイアスなんだけど。