デュトワ、ルプー

2008年2月16日
The Philadelphia Orchestra
Charles Dutoit, conductor
Radu Lupu, piano


DEBUSSY Jeux
BEETHOVEN Piano Concertro No.1 in C major,Op.15
DEBUSSY Prelude to the afternoon of a Faun
JANACEK Sinfonietta

デュトワは08年9月のシーズンからフィラデルフィアオケの主席指揮者及びartistic adviserに就任することが決定している。エッシェンバッハについていた肩書き「Music Director」ではないのだが、調べてみるとそもそもフィラデルフィア管における音楽監督は彼が最初らしい。名前だけの違いなのか、どれくらい実際の役割が違うのか、よく分からないのだけど。音楽監督のほうがよりAdministrativeなことにも関わってるとかなのだろうか。

ともかく、フィラデルフィア管のトップに就任が決定しているデュトワによる今期初の演奏会。毎年欠かさずフィラデルフィアに振りに来ているデュトワ(昨年は3月にアルゲリッチと共演)だが、さすがに就任が決まっただけあって今年は色々なプログラムを担当する。オケ側も新しいボスということだけあって、気のせいもあるかもしれないが去年のときとは雰囲気が違う。コンマスのDavid Kimとデュトワの親しげなやりとりをはじめとして、指揮者とオケとの間のコミュニケーションにやや誇張された親密感があったという印象である。その辺がアメリカらしいと思うのは、アメリカ人と日々触れてて形成されてしまった先入観によるものだろうか。

演奏は、デュトワらしい、の一言。同じオケでも指揮者が変わればかなり音が変わる。エッシェンバッハフィラデルフィア管が大好きだが、デュトワの音はやっぱり美しく優雅。今日の目玉の一つはラドゥー・ルプーとの共演によるベートーベンのコンチェルト1番だったが、ある意味で期待を裏切らないデュトワ・ルプーらしい演奏。ベートーベンのコンチェルトの中でも比較的「古典」的な方この曲をこんなにロマンチックに演奏するのを聴いたのは初めてだった。ゆっくり目のテンポと華麗な音に最初はびっくりしたが、「なるほどこんなやり方もあるか」と納得させるすばらしい演奏だった。

ルプーは歳のせいか、背もたれのある椅子にもたれての演奏。上記のとおりややゆったりとしたテンポにぴったりの、表情豊かな演奏で、本当に聴き惚れてしまった。生で聴けたのは初めてだったが、もう1度くらい聴けたらうれしいなあ。難しいかな。