日興コーディアルの買収


CITIによる買収の検討が佳境に入っているとの報道が多い。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20070226mh09.htm

そもそも最近日本に金融持ち株会社を設立するとか、東京証券取引所に上場するとか、不自然なほどのピッチで何かと金融庁の意向を意識したような動きがあわただしいCITIグループ。そんな背景から、本気度は十分伝わってくる。

みずほコーポレート銀行も日興Cの第二位株主なので、粉飾問題が出たときから買収の可能性が議論されていたけど、みずほ証券新光証券との合併推進中である上、日興は裏世界とのつながりとか色々あるといわれること、Valuation上の問題から、たぶん手を出せない(出さない)ような気がする。

Valuationというのは、もしみずほが日興を買うとすると、CITIとの合弁である日興CITIについては、みずほGのみずほ証券等とのコンフリクトが発生するので合弁を維持できなくなるはずで、その解消を前提とせざるを得ない。とすると、みずほが日興Cを買収するとした場合、日興CITIへの持分の評価はどうしても減額せざるを得ないので、普通に考えてCITIが出しうる値段をみずほが出すことは不可能と思われる。

その他買収ファンドとかが動いているといわれるけど、金融庁も難色を示すだろうし、シナジーが最大に活かせるCITIにはやはりValuationで勝てないだろう。


あとは、CITIグループの日本展開がこの買収によってどの程度進展するかについて、Competitor群がゲーム理論的にいかにシミュレーションするか、によるだろう。上記読売新聞によれば、みずほは日興がCITIとの提携を選べば特に動かない模様、としているし、たぶんそうなんだろう。ただ、これが日本の「ウィンブルドン化」を推し進めるきっかけとなるディールであり、今後の日本市場における競争条件を大きく変えるきっかけとみるなら、みずほまたは他の日系金融機関も客観的には測定の難しい価値を織り込んだValueを出せる可能性もあるのではないか。とりわけ、みずほも東京三菱も、傘下の証券会社はまだまだ頼りない状況だし。

日本の金融機関の経営者には、傍観ではなく、少なくともそういう難しそうな戦略をも真剣にシミュレーションするくらいではあって欲しい。(なんて偉そうに・・)