今週はDIPウィークで一年生の必修科目(コア科目)はすべて休校。DIPといってもDIPファイナンスのそれではなく、"Dedicated Interview Period"の略。夏休みのインターン獲得に向けた採用面接を集中的に行うべく設けられている週で、学校のミーティングルームなどが企業に貸し出され、そこで次々と学生の面接を行っていく。


以前にも書いたようにMBAの学生の中でも日本人はすでにインターン確保を終えているため、このDIP期間は米国および香港などでの就職を希望していない人たちにとっては降ってわいたようなVacationになる。したがって僕も今週はリラックスモード。


面接期間の学校はとても静かで、異様な雰囲気。スーツの学生がうろうろして、UBSの面接のラウンド2に進めることになっただとか、そんなような会話を繰り広げている。大半の学生が投資銀行およびコンサルティングファームを受験しているというのが実態で、競争は実は同じ学校内での競争という側面が強い。


友達の中には、すでに大手の銀行のラウンド1の面接で落とされた、といった状況の人も増えてきた。でもそういう話を聞いて、残念な気分を共有するというよりも、むしろ「良かったね」といいたくなるのが不思議。というのは、多くの人が、MBAに投資した資金を回収する目的のみのために、本当に自分にあっているのか分からない投資銀行を闇雲にうけているといった色彩が強いから。僕は一応投資銀行バックグラウンドなのでよりそう思うのだけど、明らかに向いてなさそうな人たちも周りの流れにまかせて受験をしている。この風景には、お金を手っ取り早く稼ぎたい、という意図は分かるものの、とても辟易する。

・・もっとも、最終的に合格していく学生はそんなに多数いるわけではないし、そういう意味では向き不向きは会社側が判断していくということなのだろうけど。


皆が投資銀行に向かう風潮は、Whartonというビジネススクールががファイナンスに強いということだけでなく、学校側もある程度そういう雰囲気を後押ししている面も否めないと思う。昨セメスターに受けたBusiness Ethicsの授業。企業の目的と社会的責任、個人としての価値観と企業の目的との矛盾にどう折り合いをつけるべきか、合法だが倫理的に問題のあるイシューにおいていかに線を引くべきか・・・といった多様な論点に対しとても幅広い分析の切り口を与えてくれた、とても満足のいく授業だった。しかし、その授業の最後の教授の一言は・・・。「皆さん、たっぷり稼いでください。でも捕まらないようなやり方で。」


倫理の教授なんだからもう少し含蓄のあるコメントが欲しかった。でもある意味、年間500万円くらいの授業料を払わせるMBAというビジネスモデルは、投資銀行のような高額の給料を払うファームという受け皿があってこそ成り立つモデルとも言える。事実、多くのアジア系留学生は、卒業後に欧米系の投資銀行に行って借金を返すことを期待して留学してきているのだから。