ymellon2007-01-25


就職活動が山場を迎えている今日この頃、毎日のように中国人や韓国人の学生から、「日本人はいいよなあ」といわれることがあります。

それは「日本語スピーカー」であることの就職参入障壁の高さ。・・要は、日本人のほうがMBAの学生的に魅力的な会社(欧米の投資銀行やコンサル)に入りやすいではないか!ということ。

思うに二つ要因がある。一つ目はジョブのサプライサイドの問題。当たり前だけど日本経済はいまだに世界第二のGDP規模を維持しており、欧米系のこういった会社の日本市場における事業規模は結構大きい。結果として日本オフィスで雇う人材の数は多いし、クライアントが日本人である以上、日本語ができない人間は雇わない。

一方で、中・韓の学生たちは、大手投資銀行に入りたい場合は①英語でやっていけるNY、Londonオフィスを受ける か、②アジアオフィス=香港オフィスを受ける、という選択肢しかない。①は欧米の学生との競争で不利なのは明らかなので、必然的に②がメインシナリオとなる。ソウルオフィスや北京オフィスとかで個別で採用しているのでは?と思ったらそうではなく、採用は香港で一括でやり、そこからの異動という形でソウルオフィスとかに配属となるという。したがって、投資銀行に入るためには、まず香港オフィスに向けて、(使える言語が採用上の考慮事項になることは間違いないにせよ)アジア全域(除、日本)の学生たちとの熾烈な競争を経なければならない。

もう一つは需要サイドの問題で、日本人MBA学生の数が中・韓に比べて相対的にかなり少ないということ。わがWhartonはファイナンスに強い学校なんだけど、今年もわが同級生はほぼ皆一流の投資銀行等でのサマーインターン確保に成功している。
ちなみに日本人学生の数は社費も含めて19人。800人の学校で、世界のGDPの9%を占める国の人がこの人数とは、やっぱり少ない。

一方、中国人は50人近く、韓国人は30人くらいいる。東南アジア各国からも10人〜はいることを考えれば、ジョブのポジションの数とのアンバランスは明らか。これらの実に7割程度の学生が投資銀行とかの面接を受けていると考えられるのだけど、たぶんポジションは一社当たりせいぜい3〜5程度。(さらに言うと競争相手は他のビジネススクールの留学生も含まれる・・・)

・・そう見ていくと確かに恵まれているともいえるかも。少なくとも、(機会損失含め)3000万円といわれるMBA留学のROI(投資リターン)はたぶん現状日本人のほうが高い。それでも中・韓からはたくさんのMBA留学生が毎年くるし、日本はある意味そこまで投資する必要を感じないから留学する人が少ない・・という現状か。

今はいいけど、このまま日本経済がどんどん縮小していって、これまで以上にグローバルに仕事をしていかなければいけなくなる中で、日本ってそれに間に合うだけの人材を育てているのかな・・と思う。たとえば、英語を話せないビジネスエリート率って、日本が最も高いのでは・・。「生まれ変われるなら日本人にうまれたいぜ」という韓国人クラスメートの愚痴を聞きつつ、ひしひしと将来に対する不安を感じずにはいられません。