日本音楽コンクール受賞者発表演奏会(第84回)

日時
2016年3月2日(水)17:30開場 / 18:00開演

会場
東京オペラシティコンサートホール


出演(演奏順)
向井 響(作曲、受賞作再演)
Safah for Bariton and 5 instruments

東 俊介(作曲、受賞作再演)
Mittelpunkten II

守岡 未央(トランペット)
テレマン : トランペット協奏曲 ニ長調

勝山 大舗(クラリネット
ウェーバー : クラリネット協奏曲 第2番 変ホ長調 作品74から第2・3楽章

黒岩 航紀(ピアノ)
ラフマニノフ : パガニーニの主題による狂詩曲 作品43

コハーン・イシュトヴァーン(クラリネット
コープランド : クラリネット協奏曲

小川 恭子(バイオリン)
ショーソン : 詩曲 作品25

城 宏憲(声楽)
ヴェルディ:<イル・トロヴァトーレ>"ああ、愛しい人よ 〜 見よ、あの恐ろしい炎を"
プッチーニ : <トゥーランドット>"誰も寝てはならぬ"

【共演】
渡邊一正指揮 東京フィルハーモニー交響楽団

向井響さん作曲の作品には非常に刺激を受けた。氾濫するメディアと情報、独りよがりの発信の中で生まれるディスコミュニケーションと不調和、そして孤独感、、、5人の演奏者がそれぞれ発する音とその混沌さが鮮烈過ぎて、聴きながら思わずクラッとしそうになるほど、曲の(音の)世界に引き込まれてしまった。この演奏家時点ではまだ大学生(4年生)という若さで、今後のご活躍が愉しみな作曲家さんだと思う。

小川さんは悪くないと思ったが指揮者がよくなかったのでは?という感じで、ちょっと曲の構造感、輪郭感にかける演奏だったと思った。
テノールの城さんは、この冬冷え、乾燥した会場の空気という悪コンディションの中、ちょっと調子悪そうだな、という感じが伝わってきて、高音大丈夫かな?と少し心配になったが、しっかり出し切ってさすがの一言。また、どうしても楽器/楽譜と向き合い、客との間に距離が生まれがちな器楽系の人の中で、やはり自分を「魅せる」ことに慣れている声楽家が出てくると、観客的にはリラックスするんだな、ということがよくわかった。プログラムの最後に彼を持ってきたのは大正解だと思う。