フィラデルフィアオケ・ライブ録音、アメリカのオーディエンス

Nov 17, 2007
Kimmel Center


Philadelphia Orchestra
Christoph Eschenbach, Conductor
David Kim, Violin


STRAVINSKY  Circus Polka
STRAVINSKY  Violin Concerto in D major
BRAHMS    Variations on a Theme of Joseph Haydn, Op.56a
TCHAIKOVSKY Serenade in C major, Op.48, for strings


Postlude Concert
Richard Woodhams, Oboe
Kiyoko Takeuti, Piano

Theodore Leschetizkyの曲(題名不明)

フィラデルフィアオケ音楽監督であるエッシェンバッハによる公演。
コンマスであるDavid Kimがコンチェルトを弾いたこともさることながら、今日の目玉はライブ録音を行ったチャイコフスキーの弦楽セレナード。金管で伝統的に有名なフィラデルフィアオケだが、個人的にはとても弦の音が好きで、ずっと前からとても楽しみにしていたプログラムである。

録音公演ということもあってか、いつも以上に仕上がりは完璧だし、気合も違う感じ。ゆっくり、たっぷりとしたイントロから、木目の美しいキンメルセンターいっぱいに響きわたる弦の音にすっかり引き込まれてしまった。このすばらしい演奏の録音に立ち会えたことがとても幸せに思えた。ちゃんとCDになったら、絶対購入!です。

この曲以外も、やはりエッシェンバッハが指揮するフィラデルフィアオケの演奏は裏切らない。Opening Nightにも演奏をしたハイドン変奏曲は、ますます完成度が高くなったすばらしい演奏だった。こんなに完璧な演奏を聴けることってそうそうないだろう、というくらい。スタンディング・オベーションも多数。

前半のストラヴィンスキーのコンチェルトは前述のとおりコンサートマスターKim氏による演奏。普段聞けないソロ演奏を聴くと、改めて彼の技術の高さと、品のあるしっとりとした音の魅力がよく分かる。一方で、日々コンサートマスターを勤めるオケでのソロ演奏には、どこか独特の物足りない部分も。自然とオケおよび指揮に調和してしまう感じがあって、コンチェルトならではのエキサイティングさを欠いた感はあった。まあ、いつもそういう役割なのだから無理ないのだろう。


全然話題は変わるが、アメリカ人オーディエンスは一般に落ち着きがなく、やかましい。ノイズを出さずには生きていられないのかと思うくらい。その彼らが、今日は「録音するのでできるだけ静かにしてね」という演奏前の年配楽団員によるお願いに応じて、日本のオーディエンス並みに静かにしていたのがとても印象的だった。・・・が、そこはアメリカ、第二楽章、第三楽章と、先に行くごとにノイズが増える増える。やはり落ち着きの無い人たちなんだなあ、と改めて感じた次第。
でも、こうして久しぶりに静かなオーディエンスの中で音楽を聴くと、いつもこうして静かな環境で音楽を聴ける日本って結構貴重なんだな、と思った。