Curtis Symphony Orchestra

Nov 5, 2007
The Curtis Symphony Orchestra
Mark Russell Smith, conductor
Aaron Rosand, violin



WAGNER Prelude to Act 1 from Tristan und Isolde
DEBUSSY Prelude a l’apres-midi d’un faune
BRAHMS Violin Concerto in D major, Op.77
R.STRAUSS Rosenkavalier Suite
(三重唱付特別版)

音楽に限らずあらゆる芸術にあてはまることだろうけど、こと音楽に関してはより顕著に、技術云々では語れないものが、とても深い感動を生むことがあると思う。小学生の合唱なんかはその良い例だろう。昔テレビで小学生の合唱を聴いて涙を流す小沢征爾の姿をみたことがあるが、すごく共感する。

オケについていえば、個人的には学生オケを聴くのが結構好きだ。学生オケは(往々にしてリハーサル時間が限られているプロと違って)公演にむけてみっちり練習するから、個々のプレイヤーの技術はプロに劣るとしても、指揮者との一体感やオケとの一体感、アンサンブルとしての完成度が意外と高いというのが理由。

今日聴いたCurtis Symphonyは、学生オケというのも不適切なくらいハイレベルな集団。Curtis音楽院フィラデルフィアにある、全米有数の音楽院で、最近ではバイオリニストのヒラリーハーンなど、数々の名演奏者を輩出している。

それでも、おそらく平均年齢10代?の彼らはやはり学生。各プログラム1日限りの公演(会場はフィラデルフィアオケの本拠であるKimmel Centerの大ホール)ということもあり、そこに向けた意気込みと集中力はやはり学生オケならではのもの。高い技術はもちろん、ひたむきな情熱あふれる演奏に、ここのところ味わえなかったような感動を得られた。

プログラムのハイライトは、やはりCurtis出身の名バイオリニスト、Aaron Rosandによるブラームスのコンチェルト。このおじいさん、今年の3月に80歳の誕生日を迎えた方。立って演奏を行うのはさすがに無理で、椅子に座っての演奏。・・しかし、この演奏、今風ブログを書きつつ年齢を調べてびっくりしてしまったほど、高齢による衰えを感じさせない。もちろん、現代の技術をもって現代活躍する若手の演奏者のような正確な演奏ではない。しかし、聴いていて本当に涙が出そうになるようなすばらしい音・表現・・!80歳というと、枯れた感じの渋い演奏を想像していたが、全くそんなことはない。Rosandの好演に駆り立てられたかのような学生オケのとても美しくかつ一体感のあるエネルギッシュな演奏に呼応してか、彼の演奏も本当にエネルギッシュなものだった。

いやはや、こんなにすごいバイオリニストの演奏に生で触れることができて本当によかった。先日聴いたムターの演奏が不満だったので、すばらしいブラームスが聴けて大満足だった。興奮してなかなか寝付けなかったくらい・・。こんなコンサートは滅多にない。カーティスの学生さんたちに大感謝。次の演奏会にもぜひ足を運びたい。



余談だが、こういう感動を味わえたコンサートをもう一つ思い出した。ドイツ・アイゼナハでのコンサートだ。指揮者およびオケのメンバーに一体感のある演奏はやはりすばらしい。


<備忘メモ>
コンミスのSylvia Kimは半端なく巧い。今後の更なる活躍が楽しみ。