スカラ座オケ、Chailly、Ben Heppner

October 12, 2007
La Scala Philharmonic Orchestra


Riccardo Chailly, conductor
Ben Heppner, tenor


WAGNER: Selections from Die Walkure, Lohengrin and Die Wesendonk Lieder

NINO ROTA: Ballet Suite from Fedrico Fellini's La Strada

RESPIGHI: Pines of Rome


ザ・オペラハウス、のミラノ・スカラ座がシャイーといっしょにフィラデルフィアにやってきて、とてもすばらしいコンサートを行った。

オペラ好きの私だが、イタリアには行ったことがない。もちろんスカラ座も。そんなスカラ座のオケをここフィラデルフィアにて生で聴ける機会がこようとは。しかもシャイーの指揮で。今日はたまたま当日限定販売のディスカウントチケットであったこともあって、席は1Fの前から6列目のかぶりつき系ポジション。

まずはシャイーの指揮姿に感動。大柄な体を機敏に動かし、エネルギッシュに指揮する姿は、楽器を持たない観客までをも指揮してしまわんかの勢い。

そしてスカラ座オケの音。すごく美しい。フィラデルフィアオケに比べ明るい音。緻密、という感じは無いがとても華やかかつ機敏という印象。後半の曲ではたくさんコンマスによるソロパートを聴くことができたが、これがまた信じられないくらい上手かった。下手な有名ソロ奏者の何十倍も上手い。ウィリアム・テルのチェロによるソロ部分も恐ろしく美しかった。金管部隊もパワフルかつ品のある音。とても華麗ですばらしいオケだなと思った(華麗、という印象はプログラムのせいもあるかもだけど)。


今日のプログラムはイタリアのオペラ座であるにも関わらず、(後半こそイタリアの作曲家による作品ばかりだったが、)前半はワーグナーのオペラおよび歌曲。ワーグナー歌いとして有名なテノールBen Heppnerの歌にはとても感動。ワルキューレのアリアで前半のプログラムを閉じたが、感動的な声に会場は大盛り上がり。コンサートホールで聴くと改めてオペラが持つ、オペラならではのパワフルさを実感する。また、アリアの演奏終了直前、歌手としての最後の音を出し終えたHeppnerが、観客に背を向け、シャイーとともに曲のフィナーレに向けテンポを上げるオケを鼓舞するかのようなジェスチャーが、観客のノリに油を注ぐ。

Nino Rotaは初めて知ったが、79年没の現代の作曲家。クラシックの作曲家というよりは、むしろ「ゴッドファーザー」の作曲など、映画音楽の分野でその名を知られている人。現代的であり、ジャズ的な要素の入った曲は、さらに客席を熱くさせた。
レスピーギ交響詩「ローマの松」(1924作)は、「ローマの噴水」などと並ぶ「ローマ3部作」のひとつで、すばらしいオーケストレーションを楽しませてくれる作品。去年フィラデルフィアオケの演奏で「噴水」を聴いて以来、レスピーギはお気に入りなのだが、今日のスカラ座による演奏は本当に華やかで美しかった。Kimmel Centerのパイプオルガンも含めた、複雑かつ美しい音の響きに包まれているだけで至福。

これだけでも会場は大喜びでスタンディングオベーションの嵐だったが、最後にやっぱりアンコールで、ヴェルディシチリア島の夕べの祈り」とロッシーニの「ウィリアム・テル」の序曲を演奏。これでもか!!、といわんばかりのイタリアオペラの名曲の演奏で、アメリカの観客はさらにノリノリ。これがクラシックのコンサートか?というような熱狂の元、幕を閉じた。シャイーはもちろん、オケのメンバーも熱狂の観客を前に笑顔。とても良いコンサートを聴けて大満足だった。