内田光子・ヤンソンス・コンセルトヘボウ

2007年6月27日


アムステルダム・コンセルトヘボウ

マリス・ヤンソンス指揮
内田光子 ピアノ

ワーグナー 「タンホイザー」序曲
モーツァルト ピアノ協奏曲25番
ブラームス 交響曲第1番


待望のコンセルトヘボウによるホームグラウンドでのコンサート。
指揮はシェフのヤンソンス。ピアノは内田光子、シーズン終盤の公演とあってプログラムはスーパー・メジャーな曲ばかり・・とこれ以上ない公演だった。

初めて入ったコンセルトヘボウのホール。思ったよりもこじんまりとしている。白を貴重にした内装はとても優雅。コーヒーは苦くてまずい(フランスから来たから余計にそう思うのか・・?)が、ちゃんと「コンセルトヘボウ」と記載されたコーヒーカップがまたかっこいい。
音響は、一階席だった(といっても二階席はほとんど席がなく、恐らく定期会員でしめられている)こともあり、ダイレクトに飛んでくる音と、天井にぶつかって跳ね返ってくる音とが混ざった感じ。でも残響に品がある。響きが明るくも暗くもなく、しめってもないけど乾きすぎてもないというか。・・・まあ、まちにまった公演なので評価が上ぶれてる感もあるけど。

内田光子とのモーツァルトはまるで室内楽のような、オケの一員としてピアノが活躍するような印象の演奏だった。ピアノがオケと一緒に指揮者の傘下にいるという意味ではなく、指揮者も室内楽奏者の一人にみえる、という意味で、である。とりわけ、木管部隊とピアノのアンサンブルはとても気持ちが良くて、木管はある意味ヤンソンスではなく内田を見て演奏しているかのようにすら見えた。演奏後はほとんどのお客さんがためらい無く立ち上がってスタンディング・オベーション

内田光子の演奏は半年ぶりくらいだったけど、やっぱり音の多彩さとかハーモニーの美しさがすごいなあと思う。繰り返しのフレーズも毎回意味が違って聞こえてくるし、違って聞こえさせるだけの音やタッチのヴァリエーションがあるというか。

後半のブラームスは、正直?という感じ。まあ、こういう有名な曲ってどうしても自分の中に特定の「名演」のイメージがあって、それを基準に聴いてしまうからだと思うけど。とりわけ、第4楽章は、「ヤンソンスってこんなにテンポ変える人だっけ?」という感じで、オケが乱れる部分もあった(ヤンソンス・ヘボーの組み合わせではほとんど見られない現象)。

とはいえ、タンホイザー序曲も含め、本拠地での演奏を心から楽しめた。アムステルダムはパリから5時間弱。そんなに簡単に行ける所ではないが、またいつか、いつかこのホールを訪ねたいなと思った。