ジュリア・フィッシャー

April 29, 2007

The Philadelphia Orchestra
Christoph Eschenbach, conductor
Julia Fischer, violin

Verizon Hall

Symphonie fantastique




BEETHOVEN Violin Concerto
BERLIOZ Symphonie fantastique

数日前にチェックしたらチケットがほぼ完売となっていて、もう諦めていたこの公演。フィラデルフィアには「Community rush」というチケットがあり、当日券のうちの一部を30-50人ほどの人に、席種に関係なく一律10ドルで当日の特定の時間帯に販売する。当日券自体がかなり少ないはずだし、だめもとで電話をしてみると、今日もCommunity rushを売るということ。予定の時間の30分前に行ったらもう40人ほどの人の列・・・。それでも無事購入することができ、念願だったプログラムを聴く事ができた。

今日はいずれも有名な曲であること、エッシェンバッハが指揮をすること、で、楽しみだったたのだけど、結果として一番感動したのはジュリア・フィッシャーのバイオリン。とても品のある、透明感のある音。冷静で安定した感じの、気品のある演奏。それがまたベートーベンのこの曲にすごくあっていて。とても好きな曲で初めて聴けたのも良かったかもだけど、すぐにファンになってしまいました。ドイツはミュンヘン出身のこの女性、なんとまだ24歳くらいらしい。前回のJansenと同じくすばらしい美貌系バイオリニストだけど、演奏はこの方の方が全然良い。


(写真:ジュリア・フィッシャーのHPより)

エッシェンバッハのバイオリンコンチェルトの指揮は、フレーズの一つ一つを新鮮な感覚で聴かせてくれる感じ。この人の指揮で曲を聴くと、どんなに聴き慣れた曲でも新鮮さを吹き込んでくれるのが好き。この曲のもつ崇高な感じがよく出てたような。オケもいつも以上に美しい。一方で、変化するテンポに関しては若干彼の意図がオケに伝わりきってない感じもした。

・・と書いたけど、これは単に自分の集中力不足かもしれない。というのは、今日座った席の近くには、呼吸補助機みたいなものをつけた車椅子の方がいて、「ぶぉー」(機械が空気を吸い取って酸素を作る?音)「すー」(鼻から息を吐く音)というノイズがずーっと繰り返されて、とりわけカデンツァの部分では集中を維持することがかなり難しかった。色々な人に開かれた演奏会であって欲しいと思うけど、呼吸補助機(らしきもの)のノイズのレベルになるとかなりつらいものがある。しかも、人間の呼吸に関わる音、ということが、いろんな意味でよりいっそう強く集中を阻害した感じが。どういう事情か分からないけど、その方は後半にはいなくなった。ひょっとして苦情とか出たのかな。・・ともかく、運営者としては、多くの人にアクセスを与えることと、鑑賞環境の維持とのトレードオフに悩んだことと思う。

ベルリオーズは、何気に生で聞いたのはこれが初めて。ということで、じっくりと聴いたのも実は初めてだった気がする。オケ、とりわけ弦の美しさには大満足。


このシーズン、何回聴いたか分からないけどフィラデルフィアオケを聴くのはこれが最後。最後にすばらしいコンサートを聴けてとても満足だった。
エッシェンバッハ音楽監督としては最後のシーズンとなる来年も楽しみ。