Wharton Economic Summit

ymellon2007-04-13


今年はWharton創立125周年。毎年同じようなものはやっているかもだけど、これを記念してEconomic Summitと題した企画が盛大に催された。

Whartonの卒業生を中心にさまざまな分野で活躍する人が集められ、二日間にわたって講演会やパネルディスカッションなどが盛りだくさん。その中でも目玉企画の一つと思われる、ジェレミー・シーゲルとマイケル・ミルケンによるパネルに参加してみた。


(写真:講演後、ミルケンとシーゲルに押し寄せる人々。(hisako嬢提供))

シーゲルはWhartonの看板教授の一人で、今は受講しているマクロ経済でお世話になっている。いろんな本を書いてて、日本語にも翻訳された「株式投資の未来」は世界的ベストセラーらしい。マイケル・ミルケン(Wharton70年卒)はジャンクボンドの帝王とも呼ばれた、ジャンクボンドの市場を作ったことで知られる人。インサイダー取引とかで捕まってたんだけど、社会復帰した後はヘルスケアや教育などの分野での慈善事業などに力を入れている。金融出身の自分としては伝説のミルケンを生で見れる!!のが嬉しくて参加した。

彼の講演は1時間近くにわたるもので(大幅に時間を超過してた)、しっかりしたプレゼン資料を伴うものだった。メインテーマは、金融技術が「お金の民主主義」を推し進め、それが社会の発展、ひいてはHumanityの向上に大きく貢献する、というもの。前述の通り、彼はジャンクボンドという市場を創出することにより、それまではなかなかお金の供給を得られなかった財務状態の悪い企業でも資金を得られるような経済を創造した人。そんな実績に裏付けられるプライドと信念を強く感じさせる内容だった(要点は下記の講演メモご参照)。締めは「Financeの分野で世界一のWhartonは、金融技術で世界を変える」。

60歳(か61歳)にして、とても鋭い眼光には金融の世界で生き抜いてきた人としての厳しさみたいなものを感じた。やっぱり成功するにはパワーがないとな。ミルケンの前に講演したシーゲル教授も、66歳とかなのにものすごくエネルギッシュ。僕も老け込んでないでジムにでも通わなきゃ。


マイケルミルケンの講演メモ

  • 自分は反戦運動の盛んな時期にUCバークレーで学生をした。そのころから、Humanityという理念には、「資本・資金(の流れ)の民主主義」(Democracy of capital)が必要だ、という信念が育った。
  • その後、WhartonのMBAで学び、その思いが強くなった。
  • 今日のHumanityに関わる問題のほとんどは、「教育」か「エネルギー」の問題に帰結する。
  • 繁栄=��Ft(��HC+��SC+��RA)

 Ft=金融技術
 HC=人材
 SC=社会資本
 RA=実物資産

 →金融技術は、「お金の民主主義」の実現を推し進める。生まれ育ちに関わらず、必要な人が必要な資金を得られるようにするのが金融技術の効能。

  • 金融技術はさまざまなHumanityに関わる問題の解決に貢献できる

1.農業: 設備の利用によって農業の生産性は格段に向上する。(米国の例:1900年は2人に対し一人の農民→2000年には一人の農民が390人を養えている)
2.代替エネルギー問題
 代替エネルギーへの投資のリスクは大きいが、これはエネルギー価格の高いボラティリティによるもの。金融技術でボラティリティをヘッジできれば、代替エネルギーに対する投資は増える。

3.環境問題
 排出権取引など

4.住宅問題
 世の中の多くの人が自分の家をもてないでいるが、これは必ずしも一人当たりGDPの問題ではなく、モーゲージローンの普及など、金融技術によるところが多い(下記データ)。
  (住宅モーゲージローン金額÷GDP
米国   95%
イギリス 77%
ドイツ  69%
日本   36%
ロシア  1%とか

5.失業問題
 米国、イギリスの失業率は金融自由化を進め金融が産業として大きく発展し始めた80年代中盤から下落。他の欧州諸国とは大きく異なるトレンド。

6.医療問題
 ・・メモ忘れた・・。

  • 21世紀は人材資源の獲得競争の時代

 現在は比べるべくもない、シンガポールとジャマイカGDPだが、実は1960年にはほぼ同額だった。同じように小規模国であり、同じような気候条件でありながら、シンガポールは高い技術・知識の集積する国としての施策を進めた。

  • 人材資源を向上させる方法

 1.技術をもつ移民
 2.健康の向上→生産人口の上昇及び生活の質の向上
 3.教育


その他出席したパネル

Equity Market in Transition
Paul Bennett, Chief Economist & Head of RD, NYSE
Mitchell Caplan, CEO & Director, E*Trade Financial
Steve Greenblatt, Head of Sales and Corporate Strategy, Liquidnet

感想:情報技術の発展、株式取引者のニーズの多様化により、取引所や各種金融サービス会社による取引のパイの取り合いが多様なレベルで起こっていることを学ぶ。もっと勉強しなきゃならないことがたくさんあるなと痛感。