フィラデルフィアオケ定期withネーメヤルヴィ

March 16, 2007
Verizon Hall
Järvi and Beethoven

The Philadelphia Orchestra
Neeme Järvi, conductor


BEETHOVEN Overture to The Creatures of Prometheus
HAYDN Symphony No. 101 ("The Clock")
ROTT Symphony in E major



シーズンチケットになぜか3月公演が3つも入っている。一方2月は一つもなかった・・・意味不明。ともかく、今月2回目のフィラデルフィアオケ定期に行ってきました。

ご老人の定期会員がメイン客で常に比較的満席に近い金曜のマチネ公演なのに、今日はかなり空席が目立った。原因の一つはプログラム変更。本当はブロンフマンブラームスのコンチェルト1番を弾く予定だったのだが、彼が急遽"family emergency"で出られなくなったため、ハイドンの「時計」に変更。更に、ここ数日20度台の春の陽気だったのに、今日は一転、吹雪の天候となったことも要因だろう。


(写真:Kimmel Centerは01年オープンのピカピカの建物。なのに無数の雨漏りが・・。さすが米国の建築技術。)

ともかく、日フィルとかN響もよく振るネーメ・ヤルヴィで、いままで生で聴いたことのないハイドン交響曲も聴けるということで、個人的には楽しめました。

ヤルヴィはもう今年で70歳を迎える指揮者。知らなかったけどアメリカでもデトロイト交響楽団やお隣のニュージャージー交響楽団音楽監督をしているらしい。息子のパーヴォ・ヤルヴィも指揮者なんだけど、この息子さんはフィラデルフィアの名門カーティス音楽院で勉強してたとか。息子がカーティスに入ったのが80年、そして同年にお父さんがフィラデルフィアオケ初登場を果たしているのは偶然ではないだろう。

N響アワー」なんかでよく放送されるのを見ると、高齢なだけに、最小限の動きで指揮をしている感じ・・で、今日もそれを予期していったらところがどっこい。すごく動きが良い。何で?曲のせい?ダイエットの効果?N響ではやる気がしないだけ??・・いずれにしても、相変わらずの美しく生き生きした音楽という感じで大満足。

ハイドンの「時計」はすごく有名な曲なんだけど、今調べてみて「時計」というタイトルは作曲者がつけたものではないということを初めて知った。聞いてるとほんとに「時計」って感じなので意外。この曲、ヤルヴィは結構速めのテンポで、なんとも愛嬌たっぷりな演奏。急遽プログラムに加えられたとはいってもさすがフィラデルフィアオケ。とても美しい音に大満足。

後半のロット1884年、若干25歳で亡くなったウィーンの作曲家。だから決して有名ではないのだけど、作曲の先生だったブルックナーやクラスメートだったマーラーによる評価が高いため、現在にその名を残している人。ブルックナーに、一番優秀な生徒、と言わせしめたらしい。

20歳の時初めてとなるこの交響曲を作曲し、演奏してもらうために色々持って回ってたらしいんだけど、当時ウィーンですごい評価を獲得し音楽界では偉い人だったブラームスに批判をされたことをきっかけに、精神病になり、そのまま闘病生活を続けてお亡くなりになったという悲しいエピソードが残っている。

初めて聴いた曲だったし、あんまり期待してなかったんだけど、出だしからとても美しくかつ当時の音楽からすると斬新さも感じさせるハーモニーが続く。とても美しい。「ブルックナーブラームスワーグナーのつぎはぎのような」曲と形容されたりもするらしいし、そういう部分もあるのは事実なんだけど、それでも全体を通してすばらしいと感じさせる曲だった。

美しさの中になぜかせつなさを感じる。作品としての完成度は高いけど、考えてみれば20歳で作ったんだよなあ。青さを感じさせるわけでは決してないのに、どこか若さゆえのせつなさがある。25歳で病死しちゃうくらいだからどこかに悲観的なところもあったのかな。ともかく、とても深く感動。閑散としたホールだったけど、多くの人がスタンディングオベーションで応えてた。ぜひまた聴きたい曲です。