ymellon2006-11-03



11/3/2006
Cavalleria Rusticana/Pagliacci
Conductor: Marco Armiliato
Production: Franco Zeffirelli

CAVALLERIA RUSTICANA (Pietro Mascagni)
Franco Farina (Turiddu)
Maria Guleghina (Santuzza)
Jane Bunnell (Mamma Lucia)
Ambrogio Maestri (Ambrogio)
Tamara Mumford (Lola)

PAGLIACCI (Ruggiero Leoncavallo)
Salvatore Licitra (Canio)
Patricia Racette (Nedda)
Mark Rucker (Tonio)
Dwayne Croft (Silvio)



カヴァレリア・ルスティカーナとパリアッチ(道化師)は、いずれも一幕物のオペラで、単品で演奏するには短いので、たいていこうしてセットで演奏される演目。いずれもヴェリズモ・オペラというカテゴリーに属する、比較的近代の作品(それぞれ初演は1890年、1892年)です。

ヴェリズモというのは、(引用開始)日本語で真実主義あるいは現実主義とでも訳されるべき一種のリアリズム運動で、19世紀末から20世紀初頭にかけてイタリア散文文学で隆盛した新傾向のことである。はじめ1870年代末に小説の新思潮として現れ、やがてその指し示す意味を変化させつつ、演劇そしてオペラへと影響が拡大していった(引用終了・以上、Wikipedia)。

・・難しくいうとこうなるみたいですが、要は浮気とかそういうドロドロしたテーマを扱った昼ドラみたいなオペラです。どちらも浮気が原因で悲劇が起こるという話。

このヴェリズモが面白いのは、いろんな価値観の対立が浮かびあがってくるところ。自由を夢見る心、愛情、同情、プライド・・・ 誰が正しいとか悪いとか、白黒つけられない所に悲劇が起こるというパターン。それだけに感動にとても深みと味わいがある、そんなオペラです。

演奏のほうは、まず指揮者がすばらしかった。とても音がキレイで、かつ結構緩急つけた演奏。カバレリアの間奏曲なんかは特にタメを聴かせた味わい深い演奏でした。

カバレリアはとても楽しかったのですが、残念だったのはパリアッチ。とても大好きなオペラで、また初めて見たのが「世界一のCanio(主役の道化師)役」といわれる人の舞台だったので、どうしてもその人のイメージが強く頭に残っていたのか・・哀愁を感じさせない声(+演技も下手だった)の主役のためどうも演奏に引き込まれずじまいでした。

演出は有名なZeffirelliですが、パリアッチの劇中劇を見せる場面には少し不満が。劇中劇はあくまで自分も劇中の劇を見る観客の視点のほうが、とりわけパリアッチに関しては、臨場感があってよいと思うのですが、今回は劇をやっている風景(舞台および観客)を斜め後ろから眺めるアングルでの演出。おそらくこれも演奏に入り込めなかった要因の一つかな。

・・まあそういう日もあるか。次回に期待です。