トゥーランドット

立川市民オペラ公演2012 
歌劇「トゥーランドット」(プッチーニ作曲)
開催日: 2012年3月10日(土)17:00開演
会  場: 立川市市民会館(アミューたちかわ)大ホール

総監督:砂川 稔   指揮:古谷誠一   演出:中村敬一

キャスト:
トゥーランドット: 小川里美
◆カラフ:      山田精一
◆リュー:      中島寿美枝
◆ティムール:   片山将司
◆ピ ン:      森口賢二
◆パ ン:      与儀 巧
◆ポ ン:      川久保博史
◆皇 帝:      及川尚志
◆役 人:      大川 博

管弦楽:立川管弦楽団   合唱:立川市民オペラ合唱団

久々のオペラを見た。世間的一般と比較したら相当多くのオペラを見てる方だと思うが、実はトゥーランドットは初めてだった。このオペラ、あらすじを読んでもとんでもない話だなあ、と思うが、実際のステージを見てよりそう思った。なんというか、ストーリー自体にもはやあまり意味はなくて、むしろいくつかの概念(自己犠牲の愛とか、熱い想い、とか)を音楽と歌で表現するための幻想的な装置、といった方が良いのかもしれない。プッチーニの音楽が如何に洗練されているかをより深く感じることができた。

演奏は、指揮と歌のずれが気になる所が思いのほか有ったが、全体的に非常に満足のいくものだった。トゥーランドットの小川さんは元ミスユニバースのなんちゃららしいのだが、さすがの美貌で納得感のあるステージ姿であった(この話で、トゥーランドットが太ってたりしたらいけてないと思う)。美貌だけでなく歌・声共にとてもすばらしい。山田さんのカラフはさすが、の安定感。リューの中島さんの3幕での熱い表現はさすがの一言。小川さんと中島さんの対比はとても良くてナイスキャスティングだったと思う。ピン・パン・ポンの3人組は歌も演技も本当にすばらしかったが、とりわけパンの与儀さんの声はすばらしいと思った。ティムールの片山さんのなめらかなバスは第三幕のリューの自害の後の場面に神々しさを加えていた。メイクを落としてのカーテンコールの時に、隣の席の小学生らしき女の子が、「若い!」と驚嘆していたのには笑った。

立川市民オペラの会の公演を聴くのは今回が初めてであったが、結構長い歴史を有する組織のようで、今日も多くのボランティアと思われる関係者の方々が運営にあたっていた。あみゅー立川のホールは古いだけあって席も狭いし、音響もそんなに素晴らしい箱ではないけど、このぐらいのサイズのホールでオペラを聴けるのは日本ではとても貴重だと思う。しかも、歌い手はトップクラスの歌手ばかりで、そういう意味では非常にお得な演奏会だと思った。