川崎翔子 ランチタイム・コンサート 「甦った明治のスクエア・ピアノ」

2008年10月7日(火)@丸の内ビル1Fホール

プログラム

F.クープラン: 「ティク・トック・ショック」

J.Ph.ラモー: 「一つ目巨人」(クラヴサン曲集 第3組曲より)
W.A.モーツァルト: 「トルコ行進曲」(ピアノ・ソナタ第11番 イ長調KV331より 第3楽章)
C.サン=サーンス(ゴドフスキー編): 「白鳥」(組曲『動物の謝肉祭』より)
F.ショパン: 12の練習曲 作品25より
第1番 変イ長調「エオリアン・ハープ」
第2番 へ短調
第7番 嬰ハ短調

F.ショパン: 12の練習曲 作品10より
第12番 ハ短調「革命」
第3番 ホ長調「別れの曲」


最近諸事情あって貧乏なため、ろくにコンサートにいけてないのだが、そんな折、たまたま友人とランチをするため丸ビルに入ると、「12時10分から演奏があります」、といってチラシを配る人が。気づくと古いものと人目で分かる変わった形をしたピアノがおいてある。聞いてみると、丸ビル、というか三菱地所と芸大が提携してやっている企画の一環でのコンサートとのこと。生演奏は久々のことなので、ランチは早々に済ませ、友人と演奏に耳を傾けた。

使われたピアノは芸大の地下に眠っていたスクエアピアノで、130年ほど前に作られたものとのこと。戦時中、薪として本体の一部が使われるなど、ひどい状況にあったものを最近日本ピアノ調律師協会の方々が修復したらしい。そのピアノを使っての演奏が行われたのだが、古いピアノの音の面白さはさることながら、演奏がとてもすばらしく、とても気持ちのよいひと時を過ごすことができた。

演奏者は芸大の博士課程在籍の川崎翔子さん。(なお、崎の字は本当は違うが、このブログではなぜか表記されないので「崎」と書かせてもらっています。Hatenaブログほんと使いにくい。)不自然にEmotionalな感じがなく、あくまで楽譜に忠実で、フレーズの流れや組み合わせが自然に要求するものを的確に表現した演奏だな、と思った。弾力性というか、自然なスピード感の変化が、それぞれのフレーズやハーモニーの輪郭を浮かび上がらせてくれて、曲の持つ魅力により引き込まれていく、そんな感じ。すばらしい指揮者によるオケの演奏を聴いているような錯覚を受けた。・・ひょっとして久しぶりの生演奏だったのでより感動が大きかったのかもしれないけど、でもこの川恕Wさん、本当にすばらしい演奏者だと思った。別の機会にも是非聴きに行きたい。