日本フィル・下野竜也・長原幸太

日本フィルハーモニー交響楽団 「なつやすみコンサート」
2007年8月6日@ミューザ川崎


<指揮>下野竜也
<お話とうた>江原陽子
コンサートマスター>長原幸太
<第2部の出演>スターダンサーズ・バレエ団
  (演出・振付)鈴木稔 (照明)河野竜夫 (音響)小山田昭

[第1部]
  ワーグナー:歌劇《ローエングリン》より「第3幕への前奏曲」〜「結婚行進曲」
  楽器の紹介
  R=コルサコフ:くまん蜂の飛行(チューバソロ)
  ヴォーン=ウィリアムズ:《グリーン・スリーヴス》の主題による幻想曲
  ハチャトゥリアン組曲《仮面舞踏会》より「ギャロップ


[第2部]
  チャイコフスキー:バレエ《白鳥の湖》(日本フィル夏休みコンサート版)


[第3部]オーケストラの演奏にのってみんなでうたおう
  さんぽ/朧(おぼろ)月夜/誰にだってお誕生日/南の島のハメハメハ大王

久々に東京のオケを聴きたくて出かけた。日フィルは毎年夏に、5歳以上の子供たちを対象とした子供向けコンサートをやっているが、今回はそれの川崎公演。

川崎の新しい音楽ホール「ミューザ」は、東京交響楽団の本拠地。入ってみると、サントリーホールとか、ベルリンフィルのホールとかを思わせるような楕円形。今日の席はあまり良いところではなかったが、音響はとても良かった。サントリーのように響きすぎることはない。サイズもオケを聴くにはぴったりで、気持ちよく音のシャワーに浸ることが出来る。良い本拠地をもったことで、東京交響楽団の演奏もきっと良くなっているに違いないだろう。

駅から徒歩3分というロケーションも素晴らしい。川崎、というと都心からはかなり遠いイメージがあるが、意外とそうでもない。今後日本でのサラリーマン生活が始まったら足を伸ばすことになりそう。

さて、肝心の演奏。下野さんの指揮はやはり素晴らしい。キレのある分かりやすい指揮で、音楽が生き生きとしてくるという感じ。日フィルはよく聴いているのだが、今日は長原幸太氏(現在は大フィルのコンサートマスター)をコンマスに向かえての布陣。この影響はとても大きくて、(失礼ながら)「これが日フィル?」と思ってしまうほど、今日のヴァイオリンはきれいだった。勝手なことを書くと、僕はかねてから日フィル所属のコンマスの音にはかなり不満だったのだが、違うコンマスが弾いたときとの大きな違いを目の当たりにして、その思いを強くした。元々管部隊の安定性は高いオケだし、コンマスが代わって弦がもっといい音を鳴らすようになったら、さらに良いオケになると思う。

第二部の「白鳥の湖」は、バレエ団によるパフォーマンス付きの演奏。このチケット価格でこれは贅沢。この名作の、さらに最も聴き所だけを集めた抜粋版での演奏だったせいもあって、素晴らしい音楽の連続。前述の長原コンマスの素晴らしいソロに続き、有名なテーマを美しくかつパワフルな弦が奏でると、すっかり感動。

それにしてもこういう趣旨の演奏会を毎年やっている日フィルは偉い。子供達が本物のオケの演奏に触れる機会はそう多くはないだろう。指揮者を含む、オケ全員が仮装するなど子供の関心を惹く演出をする努力は素晴らしいなと思った。最後はオケの演奏に合わせて合唱。子供だけでなく、大人も楽しめるプログラムだと思う。来年も是非足を運んでみたい。