田子真由美・片山将司 ジョイントリサイタル

 

2019年2月18日

@アルテリーベ東京

 

田子真由美 ソプラノ

片山将司 バス

中澤頼子 ピアノ

 

プログラム 

第1部

G.マルティーニ作曲 愛の喜び
F.P.トスティ作曲 薔薇
F.P.トスティ作曲 セレナータ
G.プッチーニ作曲 オペラ 《つばめ》 より ドレッタの夢
W.A.モーツァルト作曲 オペラ 《魔笛》 より この聖なる殿堂に住む人は
中田喜直作曲 髪
中田喜直作曲 悲しくなったときは
L.ドリーブ作曲 オペラ 《ラクメ》 より どこへ行く若いインドの女よ(鐘の歌)
G.ヴェルディ作曲 オペラ 《シモン・ボッカネグラ》 より 悲しい胸の思いは

– 休 憩 –

第2部

C.ポーター作曲 ミュージカル 《陽気な離婚》 より 夜も昼も
F.D.マルケッティ作曲 映画 《昼下がりの情事》 より 魅惑のワルツ
R.C.ロジャース作曲 ミュージカル 《南太平洋》 より 魅惑の宵
M.モノー作曲 愛の讃歌 (ピアノソロ/中澤頼子編曲)
L.バーンスタイン作曲 ミュージカル 《キャンディード》 より きらびやかに着飾って
P.I.チャイコフスキー作曲 オペラ 《エフゲニー・オネーギン》 より 恋はどんな年齢にも勝てない
W.A.モーツァルト作曲 オペラ 《ドン・ジョヴァンニ》 より お互いに手を取り合って

 

 

 

 

声楽家お二人によるコンサート。でもデュエットは1曲というのがソプラノ・バスの組み合わせならでは。プログラムは全5言語にわたる幅広いもの。

 

バスの片山さんのリサイタルを聴くのはこれで3回目。相変わらずのパワフルかつ艶のある声だったが、以前聴いた時よりもさらに熟成が進み深みが増した印象。今回は狭い会場であったので、より一層、響きをダイレクトに感じられ、客席全体が迫力に圧倒され包まれている様子が空気で感じられた。ドンジョバンニのデュエットでは艶と色気がすごすぎて聴いているのが恥ずかしくなるくらいの素晴らしさ・・。

 

ソプラノの田子さんは本当に美しい声と素晴らしい表現力の持ち主。響きがとても耳に心地よく、ふと往年の名ディーバのCDの録音を思い出させる、なんとなく日本人っぽくなさも感じさせる声だと思った。その声を高い表現力で操り、歌曲、アリアからミュージカル曲まで、あらゆるタイプの音楽が持つ魅力を十分に引き出した演奏だった。特に日本語で歌われた2曲(中田喜直の「髪」、そして後半の「魅惑のワルツ」)が素晴らしく印象に残った。

 

ピアノの中澤さんは本当に素晴らしいピアニスト。ショパンがピアノの詩人なら、中澤さんはピアノのPainterといったところか。音の多彩さとリズム感/タイム感がすごく、この素晴らしい二人の歌い手の演奏に美しい背景、土台、あるいは推進力を提供していた。中田喜直の「悲しくなったときは」では夜の海の景色が伝わってくるような深い陰影が、またご自身による編曲のピアノソロの「愛の賛歌」ではほとばしる感情が音になってあふれ出す様が表現されていた。